こんにちは。
豊かな食材溢れる瀬戸内海に面した、広島県福山市に佇む隠れ家料亭『一燈照隅』です。
少しづつ暖かくなり、ようやく春らしくなってきました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。4月になり新たな環境で過ごされる方も多いのではないでしょうか。
そんな4月といえば、1868年(慶応4年)に長らく続いていた徳川幕府こと江戸幕府が本拠地の江戸城を明け渡し(無血開城)新たな時代の始まりとなった月でもあります。
昨年には戦国武将、徳川家康の生涯を描いた大河ドラマ『どうする家康』も放映されていましたね。実は戦国武将と日本料理の歴史にはかなり深い繋がりがあったのです。本日はそちらをお話していきます。
【戦国時代の風味を再現する料理法】
日本の歴史における戦国時代は、今なお多くの人々に影響を与えています。その魅力は、歴史書やドラマだけに留まらず、食文化においても見受けられるのです。戦国時代の風味を再現する料理法は、当時のシンプルながらも深い味わいが特徴です。地元の食材を使用し、現代では忘れられがちな伝統野菜を用いたり、調理方法に工夫を加えたりすることで、戦国武将が享受したであろう食事を今に再現しているのです。
【 伝統野菜と戦国武将の食卓】
時は戦国――豊かな自然が育んだ土地で育った伝統野菜たちは、当時の武将たちの食卓を彩っていました。今では見かけることが少なくなった野菜でも、そうした食材を使うことで、当時の素朴かつ栄養に満ちた食生活を偲ぶことができるのです。例えば、「うど」や「こごみ」、「たけのこ」などの山菜を用いた料理は、シンプルながらも奥深い味わいを醸し出します。また、保存技術が限られていたため、新鮮な食材をその場でつかまえ、火を通すという方法が普通であったため、素材の味を最大限に生かした料理法が重宝されていたのです。
【 地元食材を用いた古式ゆかしい味わい】
地元食材を用いることは、戦国時代の料理法における基本中の基本です。その土地でとれた新鮮な魚や野菜、山の幸は、旅の途中の武士たちにとっても重要な栄養源でした。今日においても、その土地ならではの食材を活かした料理は、旅人に古式ゆかしい味わいを提供しています。地域ごとに異なる特産物を用いた料理は、その地の風土を味わうと共に、戦国武将がその場で感じたであろう自然の恵みを直に感じることができるのです。
【 歴史を感じる日本料理とは】
歴史を感じる日本料理とは、単に古い食材や調理法を使うだけではありません。それは、食の背景にある当時の人々の暮らしや文化を理解し、尊重する姿勢から生まれるものです。例えば、茶の湯文化と密接な関係をもつ「懐石料理」は、戦国武将たちの歓談や奥ゆかしい交際の場で供された食事を再現したもので、当時の格式や趣向が今に伝えられているのです。食材の選定から、器の選び方、盛り付けに至るまで、一つ一つに歴史を尊重した工夫が凝らされており、現代の我々が直接戦国時代に触れ合う手段の一つとなっています。
続きをぜひお楽しみください。