こんばんは。
豊かな食材溢れる瀬戸内海に面した、広島県福山市に佇む隠れ家料亭『一燈照隅』の元嶋です。
10月も終わりを迎え、今年も残りわずかとなって参りましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
瀬戸内海の水温も下がりはじめ、お魚にも脂がのりはじめ、美味しい季節がやって参りましたと語る総料理長。
総料理長は、かつて『調理師会の東大』と呼ばれた、関西の名料亭「播半(はりはん)」で研鑽を重ねて日本伝統料理の基礎を学びました。
そんな日本伝統文化を重んじる”播半”に倣い、本日は日本料理のテーブルマナーについて紹介したいと思います。
【今は無き名料亭『播半(はりはん)』とは・・・】
まずは、本題に入る前に名亭『播半』についてご紹介致します。
「播半」は、かつて兵庫県は西宮市の高級住宅街甲陽園に佇み、一万坪の敷地の各所に佇む数寄屋造りの建屋や日本庭園は圧巻で、昭和天皇の来訪をはじめ政財界など各界著名人から愛され、北大路魯山人や谷崎潤一郎といった文化人とも歴史を歩んだ一流料亭です。
また、『調理師会の東大』とも呼ばれ、日本料理を目指すものなら誰もが目指すものの、入門できる者は限られ、1995年に不況の波に会い看板を降ろすこととなった、今ではその名料亭の技を継承する者は極僅かだとか…。
そんな一流料亭で研鑽を重ねた総料理長が『一生に一度の8席のために』という思いのもと、丹精込めて一品一品お料理をお届け致します。
では、次に日本料理のテーブルマナーについて詳しくご紹介していきます。
【日本料理に存在する4つのスタイルとは・・・】
■本膳料理(ほんぜんりょうり)
本膳料理とは、冠婚葬祭時などに用いられる料理形式で、儀式的な宴会料理・おもてなし料理のことで、お膳で頂くことが多い形式です。
■精進料理(しょうじんりょうり)
続いての精進料理は、皆様も良く耳にされたことのあるお料理ではないでしょうか。
魚やお肉などの動物性食品を一切使わない料理のことで、使用される食材が植物性の食材に限定され、ニンニクやネギなど匂いの強い刺激的な野菜類も使用されません。精進料理から派生して、うどんやそうめん、ようかんなどの料理も生まれました。
■懐石料理(かいせきりょうり)
懐石料理(別名:茶懐石料理)とは、禅宗の修行僧の食事を元にした茶道のおもてなし料理のことで、茶をメインとした料理スタイルを指し、旬の食材を味わう本膳料理を簡素化したものです。
僧侶が空腹をしのぐための質素な食事に由来するため、あくまでも茶を美味しく飲む事を目的とした素朴な料理です。
■会席料理(かいせきりょうり)
会席料理とは、江戸時代に発展した料理スタイルで、料亭・割烹や旅館・ホテルでの宴会の席、結婚式などの改まった場で提供される広く親しまれたおもてなし料理です。
和食の基本である本膳料理を簡略化し、懐石料理を宴会やお酒の席に合わせて豪華にアレンジされており、現在の日本料理の主流といえるでしょう。
【日本料理の4スタイルの1つ”会席料理”のテーブルマナーとは・・・】
この4つから、本日はさらにより広く親しまれた”会席料理”のテーブルマナーを見ていきます。
会席料理の献立の基本は、一汁三菜です。
一汁に椀物としてお吸い物が、三菜にお造り(お刺身)・焼き物・蒸し物(煮物)が出される献立が一般的です。
加えて先付けや揚げ物、酢の物などの酒菜が提供され、会席料理の最後にご飯・香の物やデザートが出されます。
『菜』の数は、奇数のほうが偶数より縁起が良いとされているため、奇数で構成されていることがほとんどです。
また、献立ごとにも細かなマナーが存在し、
酒菜を直接口に運んだり、串に刺さっているものを一気にまとめて外したりする行為や、
食材本来の風味を感じるために、味が淡白な白身魚から順に食べ、最後に赤身魚をいただく、
焼き魚は頭から尾へ(左から右へ)、一方向に少しずつ背身(上の身、表側の身)を食べ、魚をひっくり返したり、右側や真ん中から食べ始める行為など
が、会席料理を頂く際のマナー違反として挙げられています。
【肩肘張らず、心身ともにリラックスして本能のままにお料理をご堪能頂きたい…】
先ほどまで詳しくお伝えしてきた日本料理におけるテーブルマナーですが、こちらは先人の方たちが築き、お料理を堪能していただくうえではとても重要なことではございますが、当店では『食材そのものがもつ、旨味・甘みを最高のコンディションで最もおいしくお召し上がり頂けるよう』お客様には肩肘張らず、ご自宅へお帰りになられるようなリラックスした状態で、コースをご堪能頂きたいと考えております。
したがって、当店ではテーブルマナーにはこだわらず、お客様がごゆっくりお過ごしいただけるよう、しつらえや空間作りにもこだわっております。
ご来店された方こそが体験できる、『本物のその先』をぜひご堪能下さいませ。
当店HP予約フォームよりご予約承っております。
皆様とお会いできます日を心より楽しみにお待ちしております。